翔悟はそんなことを考えながら、


「別に何でもないっすよ」

と苦笑して返した。





二菜がいると、何でも頑張れる自分を翔悟は感じていた。



今朝、ご飯をよそって笑顔で渡してくれた二菜を思い出しただけでニヤついてしまい

思わずだらしなく相好を崩していると


「八代先生」



いつの間にか、目の前に保健医の神谷がいた。



「うわ、びびった」


「何か良いことでもあったの?」


「なかった…といえば嘘になりますかね」



あはは、と笑っていると
神谷は急に顔を近づけた。


「もしかして彼女といいことあったとか?」


「まぁ、当たらずとも遠からずかな」


「ふーん。さっき高校生も恋愛を満喫してるとこ見ちゃったし
八代先生まで、なんて何かつまらないわぁ」


「え、そんなとこ見たんすか?」


「ええ。写メ見る?」




写メったんかい!


突っ込みつつ、興味の方が勝り頷くと
神谷がケータイの操作をして八代に画像を見せる。






──…そこには、抱き合う二菜と一条の姿があった。