「何でもない…」
下を向いているため分からないが、恐らく翼は困惑した表情を浮かべているだろう。
違う。そうじゃなくて言わなきゃ。
「ごめん。
こんなとこ見せたかったわけじゃなくて話がしたかったの…っ」
「この前のこと？」
何とか頷く。
「ごめん。
翼は好き。でも…
大切な、友だちだって思ってる」
翼は微笑んで頷いた。
「そう言うと思ってた。
それに八代先生が好きなんだろ」
二菜はハッとなって翼を見つめる。
「ちょっと前からそうなんじゃないかなって思ってた。
八代の話ばかりするようになっただろ？
八代が二菜を連れて行った時、確信したよ。
…両想いなんだって」
二菜は下を向く。
