「但馬さん、あなたは頭が良い。
あたしの要求が分かるわよね?」
神谷は余裕の笑みを浮かべ、二菜に詰め寄って尋ねる。
二菜は下を向いて唇を噛んだ。
…悔しい。
この人の思い通りになることが。
それに先生と別れなきゃいけないなんて考えただけで胸が苦しくなる。
嫌だ。
せっかく両想いになったのに。
あたしのこと、好きって言ってくれたのに…。
でも、あたしのわがままで先生の人生を狂わせちゃいけない。
「…先生と、別れます」
「うん。それから?」
「なるべく早く家から出て行ってもらいます」
「まぁ、それは今日明日でできることじゃないからしばらくは仕方ないか。
でも、あなたが私を裏切ったって知ったら
…ばらすからね」
こっちは証拠もあるんだから、と続け
神谷は楽しそうに笑った。