「二菜、じいちゃんは実はアパート経営をしている」
「知ってるよ?」
「この八代さんという人は、うちのアパートの一階に住んでたんだよ。
でも、真上の階の住人が火事を起こしたんだ」
えっ。
「アパートの経営、大丈夫なの!?」
「大丈夫。じいちゃんは何も損はせん。
…しかし、真下の部屋を借りてたこの八代さんは大きな損害をした」
じいちゃんが担任を哀れんだ目で見つめる。
担任が祖父の経営するアパートに暮らしてたなんて、何たる偶然だろうと
そんな場合ではないが二菜は驚いた。
「損害?」
「部屋はずぶ濡れ。家具も何もかもめちゃくちゃ。
そしてうちのアパートには、もう空き部屋がない」
嫌な予感嫌な予感。