『…どこか行くのか?

多分、逃げるんだよな

異族(あいつら)…から

家族と一緒か?』



優は…人間だから
本当は相容れない存在なのに

こうも心を鷲掴みにされたら
種族の問題なんて
ちっぽけな問題に思えてくる



家族――

その言葉に
眉を顰め、悲痛そうに
けれど憎しみを滾(たぎ)らせる彼女は、

静かに…けれど確かに

悲しい嘘を吐いた




『…うん』