彼が此方に気付き振り向く

咄嗟にキュッと瞑った瞳――


近付く足音が聞こえた
隣に気配がして
フワリと柔らかいラベンダーの薫りが鼻孔を擽る

「キミは誰だ
ナゼここにいるのだ

いや
それは良い

また
会う気がする
じゃあね」

寝ていると思われたのだろうか
薄く開いた瞼
その先に彼が見えた――

幸せそうに微笑み
ラベンダー色の力強い瞳が
この世界全体を見渡すかの様に
サーッ
と動いた