降り続ける雨のせいで、黒さを増す地面を見ていると、雨の音を少しだけ遠く感じた。
後ろに誰かいる。
私の体は、もう雨に濡れていなかった。
「風邪ひくだろ」
低くて、心地のいい声。
違うとはわかっていても、その声が少し別れたばかりの彼に似ていて泣きたくなった。
振り返ると、そこにいたのは、同い年くらいの男の人。
茶髪で、少し青目がかった人だった。
見たことがある。
「聞いてんの?」
こんなに近いんだから、いやでも聞こえます…
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