「でもこの扉開けれへんで。どうやって向こう行くん?」
私は目線で上を指す。
「はは〜。なるほどなぁ……」
「もう行こ。早くしないと喧嘩見れないよ」
扉ももう少しで開きそうだし。
「猫ちゃんそんなに喧嘩にキョーミあるん?」
「え。んー…そういうわけでもないけど……」
カンカン、と音をたてながら古い階段を上がる。
「でも、強い人の戦いって、見ていて面白いと思う。なんか…綺麗に見える」
私が今まで見た中ではダントツでかな兄と音兄が綺麗だったな。
強さも申し分なかったし。
「ふーん……ま、ワシには分かるような、分からんような、っちゅうとこやな」
「そーですか」
朱雀にもいつかかな兄たちの戦い、見せてあげたいなぁ。
階段を登りきり、私たちは壁の向こう側に走る。
後ろで朱雀が、ほんまの猫みたいに足音せんな〜、と笑いながら言っていたのはこの際無視する。
近づくにつれて、さっきまでおぼろげに聞こえていた音が大きくなっていく。
朱雀の仲間、か。どのぐらい強いんだろう。
私にしては珍しく、この状況を楽しんでいたと思う。
それなのに……
「お。思ったよりしっかり見えるなぁ、猫ちゃん」
「…………」
「猫ちゃん?どしたん?」
「…………」
「おーい。聞こえとるか〜い?」
「…うん。聞こえてる」