ちょっとぼやかして言ってみたけど、
「はは〜ん……つまりは敵情視察なわけか?」
「…………」
ばれてる。
「な。そうやろ?」
「……そんな感じ」
「やっぱなぁ〜」
朱雀はニコニコ顔だ。何がそんなに楽しいのか……
ため息を吐きながら朱雀の手を縛っていたロープを外す。
「お。外してくれたん?ありがとさん」
「いいえ」
手が自由になり、朱雀は自分で足のロープを外し始めた。
「あ〜、やっとラクになったわぁ」
ぐっと背伸びをすると朱雀の身長の高さが分かる。
190センチぐらいはあるんじゃないか……
「これからどうするの?」
「ん?ワシか?そやなぁ……とりあえずは仲間の助けを待つやろな」
「仲間?」
「そや。さっきケータイ捕られたからなぁ。鬼塚がウチの総長に電話でもメールでもして呼んどるんと違う?」
「ふーん」
やっぱり朱雀もどこかの族に入ってるんだ。
予想はしてたけどね。
「なぁなぁ」
「うん?」
帰ろうかな、と考えていると朱雀がキラキラしは瞳で私を見ていた。
「な、何……?」
思わず後退りしそうになったのは朱雀の顔が間近にあったからであって、決して恐怖ではない。
「噂で聞いたんやけど……フード、とってくれん?」
「は?」
「えぇやん!な?」