朱雀はびっくりした顔をしていた。
「ほぉ…噂でしか聞いたことなかったけど、ほんまに"白猫"って女の子やったんやなぁ」
朱雀はじろじろと遠慮なしに私を見る。
でも思っていたより薄い反応だったから許そう。
「それで、朱雀は何でこんなところにいるの?」
捕まったって言っていたけど。そこまで弱そうには見えないよね。
「おっと、猫ちゃん鋭いやんけ〜」
朱雀はけらけら笑う。
「かわいい女の子が襲われそうになっててな。それを助けよう思ったら、逆に袋叩きにあってしもたわ」
「ふーん」
「ま、女の子は逃がしたからワシ的にはOKやけどな」
「……へー」
意外にも朱雀は正義感が強い男なのか……それとも女たらしなのか。
これ、判断に困る台詞だな。
「猫ちゃん反応うっす」
「そう?」
まぁ、あまり興味も湧かない話題だったので。
「今度はワシの質問えぇか?」
「どうぞ」
「ほんまはここで何しとるん?」
「…………」
「まさかほんまに散歩なわけないやろ?」
……だよね。そりゃばれるよね。
"白猫"って言っちゃったもん。
ここまできたら本当のこと言っちゃおうかな。
「さっきの……半分は本当だよ。あと半分は、まぁ、ここに用事があったから」