「お、驚かせんといてぇな。心臓止まってしまうところやったわ」


「あ、ごめん」


「はは、冗談やで。冗談」



会ったばかりの私に屈託のない笑顔を見せて笑う。



「怪我、大丈夫?」


「怪我?……まぁ多少は痛いやんなぁ。まぁ心配するような怪我でもないやろ。それより、ちょっと手伝ってくれへん?」


「?」


「ワシの体、起こして欲しいねんけど……えぇか?」



私はそれには答えず、静かに男の体を起こした。



「ありがとうな」



ニコッと笑った顔を見て、意外にも男の顔が整っていることに気づく。


それだけに怪我をしているのがもったいない気がする。



「どういたしまして」



男の顔を見ながら答えると男の顔が不思議そうな顔になる。



「……何?」



私の顔に何かついてるのかな。


でも私、オレンジしか飲んでないけど。



「いやな……キミ、女の子やんな?」


「そうだけど」


「何でこんなとこおるん?」


「…………」



あぁ、こういう展開は考えなかったわ。


そっか……普通こんなところに女の子がいたら可笑しいよね。しかも夜に。