言葉にすると何かが溢れてきてしまいそうで、私はふるふると首を振った。



「だろ?」



ぽん、と頭に乗せられた手が温かい。



「過去に満月に何があったのかは知らない。今も、俺たちに"何か"を隠してるのも分かってる。

でも信じてる。俺が見てきた満月を」



そっと頭を引き寄せられる。


私の額に太陽の胸元が当たっている感じ。


でも、嫌じゃない。


むしろ、近くで感じる体温に安心する。



「あいつらも今の満月を信じてる。どれだけ隠しごとをしてても、それだけで俺たちが一緒にいる理由には十分だろ」


「………うん」



やっぱり、優しいよ……優しすぎるよ、太陽は。


自分でも気づかないうちに、みんなのこと、本当に大切に思っていたんだな……



「もう寝ろ。明日帰るんだろ」



優しく手を引かれて私はベッドに入る。



「ねぇ、太陽」


「どうした?」


「…一つ、我が儘言ってもいい?」


「なんだ?」



私は太陽の手をとった。


ぎゅっと握ると暖かな温もりが伝わってくる。



「私が寝るまででいいの。こうしてて……」



なんだか、太陽と離れたくなかった。


少しだけ力を強くすると、返ってくる反応。



「あぁ、分かった。こうしてるよ」



太陽の両手で、包むように握られた私の手。