「太陽も、薄々感じてるでしょ。だって、どれだけ調べても、私の情報はなんにも出てこなかったんだもんね」
顔をあげて太陽を見ると、少し驚いた顔をしていて、思わずクスリと笑みがこぼれた。
多分、どうして知っているんだ、とか思ってるんだろうなぁ。
前に音兄が私の情報を調べた痕跡があるって言ってたから、涼だろうなって思ってた。
根拠のない確信だったけど。
「私はどうしようもない嘘つきなんだよ。今の私は、全部嘘でできてる」
この目も、髪も、全て偽りのモノで、素性だって……
太陽の目は、いつも真っ直ぐ。
琥珀色の瞳には強い光が宿ってる。
私はその目を見るのが好きだった。
でも今は、それを怖いと思う。
全てを見透かされそうで。
自分の醜い心がさらけだされそうで。
拒絶されそうで。
あぁもう、自分勝手だなぁ。
拒絶したいのに、されたくないなんて。
傷つくのが嫌だから、傷つける前に離れたいのに、離さないでほしいなんて。
ほんと、馬鹿だなぁ……
「それなら、俺たちが今まで見ていた満月は全部嘘なのか?」
「え?」
そんなこと言われるなんて想像もしていなくて、びっくりして太陽を見上げる。
窓から差し込む月明かりで、太陽の髪が夜なのに煌めいていた。
「今まで過ごしてきた時間も、全て嘘か?」
………違う。違うよ。それは絶対に違う。
みんなと過ごしてきた時間は、確かに今までの人生と比べたら短くて。
ほんの少しの時間だったけど、それでも私は"私"でいられた。
ちゃんと、笑えてた。