「あ……満月…」



見上げると真っ暗な闇の中に、不思議な光を湛えた銀の月が浮かんでいた。



まるで、私と彼みたい……


私が光る満月なら、彼はその月を支配する闇。


そして、私と同じでありながら決して光ることのない新月。



今も、昔も。結局私は彼の支配を逃れられずに囚われたまま。


思わず自嘲の笑みをもらす。



……サチが言っていた。バレるのは、時間の問題だと。


でも、もう……正直なところバレてはいると思う。


BCMが……彼が、何年間も探して見つからないわけがない。



私が一番よく知ってる。


BCMのことも、彼のことも……私が、一番、よく知ってる。



それでも私のところへ何も来ないのは、まだあっちがバタバタしているからかな。



「なんか、この月、昔見た満月に似てるなぁ…」



スッと目を閉じれば、鮮やかに思い出せる。


まだみんながいて、幸せだった……穏やかで優しかった時間。