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冬麻さんと話をしたあと、私は自分の部屋に戻り、これからのことを考えていた。
大丈夫。冬麻さんは優しい人だから、私のお願いは聞いてくれると思う。
何故かふっと笑みがこぼれる。
六年前のあのときも、冬麻さん……修羅様だけは、私のことを哀れみの目で見ていた。
他の人は恐怖や畏怖、憧れ、嫉妬、軽蔑……そんなものしか感じられなかったのに。
だからかな……修羅様のことを今でもよく覚えてるのは。
その当時は、何故あんな目で見られるのか、よく分からなかったけど。
ううん……分かろうともしなかったんだ。
できなかった。
辛い感情には目をそらし、全てに蓋をして鍵をかけた。
あそこで生活していくのに、悲しみや苦しみ、まして他人を思いやる感情なんていらないものだった。
むしろ持ってはいけないものだった。
自分が、残るためには。
それだけ必死だった……生きることに。
死なないことに。
ボフッ、と私はベッドに倒れこむ。
……頭がこちゃこちゃしてて寝れそうにもないや。ちょっと外の空気でも吸おう。
シャー、とカーテンを引いて窓を開けると少しひんやりとした空気が中に入ってくる。