でも、ちゃんと話しておかないと。
みんなを巻き込んでしまったとき、守ってもらうために……
「君は、やっぱりあのときの……?」
「はい、夜会のときに」
「そうか……あのときとは雰囲気が違うから驚いたよ」
そう言われて私は少し苦笑する。
確かに、あの頃の私には何もなかった。
自分でも生きているのに、死んでいるみたいだったと思う。
「それで、今日は修羅様にお願いがあるんです。私が言うなんて、図々しいとは思いますが……」
何も言わない冬麻さんの無言を肯定と受け取り。
心を落ち着けるために、一度深く息を吸って、私は口を開いた。
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テーブルの上にある紅茶から白い湯気がのぼる。
「あなた」
聞き覚えのある声に顔をあげると、春花が硬い顔で私を見ていた。
「満月ちゃんと、会っていたのね…」
「前に一度だけ、ね。あの頃とはかなり違っていたから気付けなかったけど…」
ゆっくりとのぼるぬるい湯気を見ながら、あのときの記憶を呼び起こす。
六年前――――
別に行きたくもなかったが、立場上、行かなければならなかった裏社会の夜会。
静かで退屈で息苦しいこの中で、少し空気がざわめいた。