私は、冬麻さんの顔を真っ直ぐに見つめて微笑みながらお礼を言った。
「ありがとうございます……"修羅"様」
瞬間、冬麻さんから表情が消えた。
冷たい殺気が部屋に満ちる。
「君は、どこでその名を?」
警戒、されてるなぁ。まぁそうだよね。
"普通"の人が知ってるわけがない名前だもん。
「お久しぶりです、と言っても多分、修羅様は覚えていないと思います。
……もう六年も前のことですし、少し見かけた程度で話をしたことありませんから」
「六年前……?」
訝しげな顔になる冬麻さんに、私は目の前でカラコンとウィッグを取った。
黒い髪の隙間から、銀の長い髪が私の肩からこぼれる。
「これでも、思い出してもらえませんか…?」
少し考えるように目をふせて、冬麻さんははっとように顔をあげた。
その瞳は純粋な驚きに満ちていて。
「君は…まさか……」
「思い出してもらえましたか」
「あぁ……」
信じられない、というように冬麻さんは少し頭を振る。
そんなに衝撃を与えてしまうとは……ちょっと申し訳ないなぁ。