私が着替えて出たあともまだ大ちゃんとかな兄は笑っていた。
せっかく治まったのに、つられそうになるからやめてよ……
「満月、会計行ってくるよ」
「え、いいの?」
「いいの、いいの」
にこやかに言う音兄に甘えることにして私は水着を渡した。
「奏、いい加減にしなよ」
「……あてっ!…ぶっ、くく……」
音兄が叩いても効果がない。
どれだけおもしろかったんだ。
「はぁ……マナさん。満月と一緒に先にお店出て待ってて下さい」
「分かった。行こうか、満月ちゃん」
「はい。じゃあ、先に行ってるね、音兄」
かな兄と大ちゃんはほっといていいかな。
多分、音兄が連れてくると思うし。
私とマナさんはお店を出て、近くにあった椅子に座ってみんなを待っていた。
「ふふ、見られてるね」
「すみません…」
誰に、というのは言わなくても分かるはず。
でも視線を感じる原因は他にもある。
それは行き交う人、主に女性の方がマナさんを見ていること。
ほんと、モテるなぁ……
じっとマナさんの綺麗な顔を見ているとふいに視線があう。
するとマナさんはふわりと笑って言った。
「殺されそうだね」
「………え?」