いやいや、大ちゃんが頷くのは分かるけど、かな兄はすでに変装してるじゃん。
これ、突っ込んだら負けだろうか……
「さ、冷めないうちに食べようか」
「そうだね」
「いただきまーっす」
みんなが食べ始めたのを見てから、私も小さくいただきます、と言い、目の前のパスタに手をつけた。
「いや〜、食ったな」
「な」
「もう腹いっぱいで苦しいわ」
「奏は食いすぎなんだよ」
ケラケラとかな兄と大ちゃんは笑って前を歩く。
さすが最近ニュースになったことだけあって、料理は物凄くおいしかった。
それが余程嬉しかったんだね、かな兄。
……でもね、お会計を全て音兄とマナさんに丸投げってどうよ。
マナさん年上だよね?もっと敬おうよ。
隣で歩くマナさんに音兄と一緒に謝るとふわりと笑って気にしてないよ、と言ってくれた。
優しさが身に染みます。
「奏、そっちじゃなくてこっち。満月の水着見に行くんでしょ」
「あ。忘れてた」
「おい」
本来の目的それだからね。
「へぇ、満月が水着ねぇ……何、海でも行くの?」
「うん。太陽たちと」
「ふぅん…じゃ、そのあとは俺たちとも行こうな?」
「いいよ。大ちゃんの暇な日にね」
そっか。大ちゃんやマナさんたちとは海って行ったことないよね。
二回も今年で行けるかな。