目があうとニッコリと返されて、腰に手を回された。


体が引き寄せられてピッタリと密着する。


かな兄ならともかく音兄にこういうことをされるのは珍しいので思わずその顔を見つめた。



「どうしたの?」


「ふふ、ちょっと暇潰し」



わざとらしく耳元で囁くように言うのはやめてほしい。



「………あの、音兄?」


「うん?」


「後ろの気配が尋常じゃないぐらい怖いんですけど?」


「うん。怒ってるね」



クスクスと楽しそうに言うけど。


……この人、絶対わざとだ。



「音兄の悪い癖だよ……」



人をからかって楽しむこと。



「性格だからね。許してよ」


「それで済ますか……」



もう諦めてるけどね。


普段からかわれてるかな兄もこんな感じなのかなぁ。



そう思ったときかな兄がお店から出てきた。


それとともに音兄の手が私の腰から離れた。


後ろの気配もトゲトゲしたものが消えて一先ず安心する。



「二人とも何してんだ?」


「ちょっと暇潰し」


「音兄にからかわれてた」


「……?そうか」



楽しそうな音兄と少しむくれた私を見たかな兄は、いまいち状況が分からないような顔をしていた。