「じゃあ行き先は近くのショッピングモールでいい?」
「うん。音兄に任せるよ」
「了解」
音兄の運転はいつも穏やかでいいなぁ。
ふあ、と欠伸が出る。
「満月、眠いのか?」
「んー、少し」
「寝てていいぞ?」
ぽんぽんとかな兄は自分の膝を叩く。
「じゃあ、ちょっとだけ」
「ん。おやすみ」
「うん……」
かな兄の膝枕で私はいつの間にか眠ってしまった。
「みーつき…おーい!」
「満月ー、着いたよ?」
「……ん、」
目を開けるとかな兄と音兄の顔。
「おはよう」
「おはよう……」
車の外を見ると大きなショッピングモールが立っていた。
「着いたぞー?」
「うん。分かるよ、かな兄」
ぐっ、と伸びをしてから車から下りる。
なんかよく寝た感じがする。
「んじゃ、行くか」
「うん……というかずっと思ってたんだけど、二人ともそれ何?」
「「これ?」」
あ、ハモった。
「うん、それ」
「変装道具」
「だね」