「うわ、もうこんな時間……」



そろそろかな兄たちから電話来るかな。


服を着てウィッグを被る。


鏡の前に立って姿を見てみるけど。


うー……やっぱり普段のにしようかな。


でもこれ意外と動きやすい……恥ずかしいけど。



どうしようか迷っているとケータイが鳴った。



「もしもーし」


『満月、もう準備出来てる?』


「う、い、一応……」


『もう下にいるからね』


「あ、ちょっ、」



プツン、と切れたケータイ。


待たせるのも嫌だし……仕方がない。これで行くか。


鞄にケータイと財布を入れて靴を履く。


下に降りると見覚えのある車が止まっていて、中から音兄が手を振っていた。



「おはよう、音兄、かな兄」


「おはよう、満月」


「おぉ、その服着てくれたのか!」



う……さっそく突っ込んできた。



私が今着ているのは白地に青い小さな花が裾に散らばっているシンプルなチュニックに短パン、黒のレギンス。


上にジーンズ生地の上着を羽織り、踵の低いパンプス、小さめの鞄を持っている。



「着ないと勿体ないしね」


「照れ隠しかよ」


「かな兄うるさい」


「似合ってるよ、満月」


「ありがと、音兄」


「音ばっか狡くねぇ?!」



いじけてしまったかな兄を見て私と音兄は笑いあう。