まぁ人の親切を無下にはしないけどね。



「猫、やなかった。満月の家ってどこにあるんや〜?」


「えっと……そこをしばらく真っ直ぐ行って、左に曲がったところにコンビニがあるの分かる?」



お互いヘルメットを被っているからか声がくぐもっていて聞こえずらい。


朱雀は少しして、あぁ、アソコか、と言ってバイクのスピードをあげた。



……やっぱりいいな。バイクに乗ったときの風とか流れていく景色、とか。


また時間があるときは乗せてもらおう、と考えているとあっという間にコンビニまで着いてしまった。



「よし。着いたで。こからどこ行けばえぇ?」


「え、ここでいいよ?」



わざわざ悪いしね。


そう思って言ったのに朱雀は呆れたような顔を私に向ける。



「あのなぁ、太陽が言ってたやろ?明日迎えに行くって」


「……あ」



言ってたな。



「やから、今家まで行かな明日迎えに来れんやろ?」



さっさと教え、と言う朱雀はなんだか笑っている気がした。



……蹴りたい。



「……そこの道、入って。少ししたら右の方にマンションあるから」


「りょーかいさん」



朱雀は再びゆっくりとバイクを動かす。



「あ、ここ」


「ん」