「それじゃあ、ワシが家まで送るわ」
どっこいしょ、と言いながら立ち上がる朱雀。
お前はどこぞのオッサンか、という突っ込みを飲み込む。
「それでええやんな?」
「うん」
私もいろいろ話たいこともあるし。
朱雀の後ろを着いて部屋から出て行こうとしたときくっ、と軽く引っ張られる。
「?」
莉都かな、と思って見ると太陽だったのでびっくりする。
「どうしたの?」
「……いや、明日迎えに行くから家で待ってろ」
別にいいのに、と思ったけれどこれも姫の仕事だと自分を納得させる。
「わかったよ。じゃあ行くね」
「あ、待って満月ちゃん」
「?」
次は涼に呼び止められる。
まだ何かあるんだろうか……
「今日はいきなり連れて来ちゃったからね。はいこれ」
「あ、私の鞄」
持って来てくれたんだ。
……中身はあんまり入ってないけど。
「莉都に頼んでおいたんだ」
「そうなんだ。莉都、ありがとう」
「どういたしまして、だよ」
鞄を受け取ってにこ、と笑いながら言うと扉の向こうから朱雀の声が聞こえた。
多分、早く来い的なものだと思う。
「また明日ね、みぃちゃん!」
「また」
「……うん。またね」
みんなに手を振って部屋をあとにする。