逃げたい。その爽やかな笑顔をひっぱたいてでも逃げたい。
……まぁ諦めたけど。
はぁ、とため息をつくとちら、と太陽に見られたけどこのくらいは許してほしい。
しばらく手を引かれてやってきたのは下の階を全て見渡せるような場所。
私がさっき来た時はこんなに人いなかったのに今はたくさんの人で溢れている。しかもその頭のカラフルなこと。
そんな色どこで売ってるんだよ、という感じの色まである。
例えるなら……ショッキングピンク?うん。目に優しくない。
そんなどうでもいいことことを考えているとふいに手の温もりが消える。
下から見える位置に太陽が移動したからだ。
それだけでざわめいていた下がシン…とした雰囲気になる。
「こうやって見ると、総長っぽいな……」
無意識に出た言葉は太陽には届かなかったみたいだけど涼には聞こえていたらしい。
笑いを噛み殺してたからね。
そんなにおもしろかったのか。
「満月。来い」
知らないうちに話が進んでいたらしい。
太陽の呼ぶ声で我にかえる。
おずおずと太陽の隣に並ぶと下から嫌というほどの視線を感じる。
「さっき言った通りだ。こいつが俺たち双翼の姫。泉 満月だ」
ぐい、と前に出されて太陽を睨むと口パクで挨拶しろ、と言われた。
というか、挨拶って何?何言えばいいの?