たくさんの視線を感じながらも、どうにか平静を保ったまま太陽に案内された部屋に入る。
視線が途切れてホッとして体から自然に力が抜けた。
「そのうち他の奴等も来るだろ」
座って待ってろ、と言われてお言葉に甘えて座らせてもらう。
肉体的には疲れてはいないけど、精神的には多少のダメージを食らったので。
「何か飲むか?」
「あ、えっと、紅茶とかある?」
「レモンティーなら」
「じゃあそれで」
手渡されたレモンティーをもらい、お礼を言ってからちびちびと飲む。
太陽もソファに座ってブラックコーヒーを飲んでいた。
イケメンは何をやってもかっこいいんだなぁ……こういう時に世の中の不公平を感じるよ。
ふと、太陽が飲んでいるコーヒーのラベルを見たことがある気がした。
気のせいかな……
最初は思いだせなかったが、しばらく考えていると音兄を思い出した。
そうだ。思い出した。
あのコーヒー、最近音兄が気に入ってるやつだ。
そういえばかな兄にも勧めてたなぁ。
ま、かな兄はあぁ見えてものすごい甘党だから遠慮してたけど。
かな兄曰く、『砂糖とミルクの入っていないコーヒーはコーヒーじゃない!!』らしい。
そういう音兄もそれなりに甘党なんだけどね。
でもコーヒーはブラックで飲むらみたい。
音兄曰く、『コーヒーの美味しさは、ブラックにあるんだよ?』らしい。
双子なのにどうしてこういうとこ違うんだろう?と思ったのは二人には秘密だ。