「ここって……?」
予想はついていたものの一応聞いてみる。
すると太陽がふっ、と笑って言った。
「俺たち双翼の倉庫だ」
……あはは、ですよねー。
姫になると言った以上いつかは連れてこられるとは思っていたけど……まさかこんなに早く来ることになるとは。
「行くぞ」
「あ、ちょっと」
ぐい、と手を掴まれて私は太陽と倉庫の中に向かう。
運転手の人にお礼言いたかったのに。
残念に思いながらも、今拒否すると面倒になりそうだったので大人しくしていた。
「ねぇ、太陽」
呼びかけると何だ、と言うように目線だけをこちらに向けた。
「逃げたりしないから。手、離してくれないかな?」
このまま入るとさすがに恥ずかしいし。
ね?と言うと手を離してくれた。
一瞬、躊躇ったように感じたのは私の気のせいだろう。
……なんだかんだ言って太陽って優しいんだな。
意外な事実発見。
でもまぁ、みんなに慕われているんだもんね。当たり前か。
「ありがと」
「……あぁ」
太陽は素っ気なくそう返すとすたすたと歩いて行く。
照れてるのかな。
心の中でそう思いながら私は太陽のあとをついていった。