そんな蒜名の回想ドラマに七杜たちはポカ~ンと口をあけたままになった。


「いつの間にそんな・・・」


「蒜名ってけっこう手が早いんですね。」


「う、うるさい!情だ。いちこの寝顔を見ていればきっと他のヤツでも同じ痛みを感じたはずだ。」


「そうだな・・・俺も自分で撃っておいて、すげえ痛かった。
何の悪さもしていない女の子に重傷を負わせるなんてな。

けど、あそこで撃たなければ、朔良がやられていた。」


「それは俺もわかっている。
悪魔を封じるには仕方がなかった・・・だから俺はいちこを自分の責任で引き取りたい。」


「待てよ・・・。蒜名、おまえばっかり男前ぶるなって。
退治屋の社長は俺だ。

祐希や高千のように守りは苦手だっていうヤツの言うこともわかるが、あの子を放りだすのは俺たちの客、いや、この世界のすべての禍になりかねん。

だから俺たちみんなでいちこを守ることにしよう。」


「おい、七杜!」


「蒜名、言っておくが今後いちこにはさっきの言葉言うんじゃないぞ。」


「なぜだ?」


「いちこは初心な娘だ。男を知らない。
無理に愛そうとすれば、あいつが中から出てきて心臓を食われることになる。

さっきあいつに負けただろう?」


「ああ・・・胆に銘じておく。」



「七杜!いちこが目を覚ましたよ。」


「いちこ・・・採用を決めたよ。うちで面倒をみよう。」


「な・・・七杜さん・・・リズは・・・?」


「君が気を失ったから、寝床へもどったようだ。
それは君とリズの弱点だ。
知られてはいけないことだね。」


「じゃ、どうして採用なんて?」


「どうやら、みんなが君を守りたいみたいなんだ・・・。
で、元気になったらだけど、研修はするよ。いいね。」


「はい、ありがとうございます。
あれ・・・?なんですか・・・祐希さん?」


「俺におぶされよ。
医者に連れて行ってやる。

俺がおまえを撃ったんだ。罪滅ぼしさせろ。」


「はい。でも・・・気にしないでください。
あのままだったら朔良さんがリズに殺されてたかもしれませんでした。
それを止めてくれたんだから、罪なんかじゃありません。」


「うん。そういってもらえたら、楽になったよ。
さぁ、落ちないようにつかまってろよ。」


「はい。」


「あっ・・・祐希のやつ。」


「蒜名、残念か?あははは、でも驚いたな。
おまえがいちこにそんな感情を抱いていたとはな・・・。
街に出てもきれいな女に目もくれないおまえがねぇ。

いいものが見れたよ。はっはっは。」


「七杜・・・。おまえは死んだ妹の面影を重ねたのか?」


「さあ、どうかな・・・。
妹は、魔物に負わされた傷がもとで死んじまった。
どうしようもなかったことさ。

さあ、事務所に帰って仕事だ、仕事!」


いちこと祐希以外のメンバーは事務所にいったんもどってから、仕事の依頼を受けてそれぞれ行動することとなった。