祐希の話や天使になったリズナータの声などから、いちこは不安でいっぱいになっていた。
(今度・・・もし、何かに私が狙われてリズナータが私をかばって死んでしまうようなことになったら・・・。
私のために肉体まで放棄してくれた七杜さんは・・・嫌だ!
そんなのは嫌。
目覚めたときに七杜さんが動かなくなっていただけでも胸が痛くてつらかった。
だけど・・・今、私の中にいるリズは私とキスをして・・・あれ?
熱くはなるけど、毒がないよね。
魔族特有の毒が消えてるってことは・・・今のリズは魔族じゃないの?
そうだ!静歌さんの所属してた教会できいてみよう。)
いちこは、教会へ行ってみた。
宇名観の教会というのは、日本にある神社とプロテスタント系の教会をおりまぜたようなところで、神は1つではないという考えにもかからわず、自分が信じられる神を選び崇拝できるところだった。
「おまたせしました。伝道師の綱樹(つなき)といいます。
魔族のことで教えてほしいとのことですが、どういったことでしょう?」
「じつは、私の噂はご存じかと思うのですが、私はこの身の内に魔族を飼っています。
そして、その魔族は私の用心棒として働いてくれていました。」
「働いてくれていた・・・と過去形なんですね。」
「言い方が変ですよね。飼っているといって働いてくれていたなんて。
じつは、今飼っている魔族は・・・2代目なんです。
初代は私をかばって死んでしまいました。
そして、私につくしてくれた魔族は、神に召されて功績を評価され、現在は天使になったそうです。
あ、これはお告げのような声が聞こえたんです。」
「私も新しい天使がこの町を出発したのは知っています。
それが、あなたの中にいたんですね。
で、2代目なんてどうして?」
いちこは青い本と祐希、赤い本を七杜が使ったことなど順を追って説明していった。
「伝説になっている本の話ですね。
この町に持ち主がいたとは・・・。すばらしいし、恐ろしくもありますね。
で・・・コホン、魔族とのキスでしたね・・・。
毒づいていないキスで人間どうしのそれととくに変わりない。
それはですね・・・その魔族が不完全だからなんですよ。」
「不完全な魔族!?ですか・・・。」
「そうです。
あなたの胸の奥の穴を埋めて、時空の狭間の放浪者とならないように七杜氏は自分の身を犠牲にして赤い本を使ったんでしたよね。」
「ええ。で、ときどき、私は・・・リズのことを・・・あ、魔族にリズって名前をつけてて・・・。七杜さんと錯覚を起こしてしまうことがあります。
でも、前のリズは退治屋の祐希さんの一部だったはずなのに、キスは毒だらけで私は欲しがり、淫乱女に変貌してしまったんです。
なのに・・・今のリズとは・・・登場させると恋人のようにキスしてきて、少し困りますし・・・。毒がないので、人間の彼氏と錯覚までしてしまいそうで。」
「ふふふ、なるほど。それで、戦闘などはどうなのですか?
リズ?あなたのしもべさんは以前のように爪で引き裂くような物理攻撃と魔力を要しての攻撃を使い分けていますか?」
「使い分けているのかなぁ・・・。最近の私は事務の補助とか雑用とか多くて、魔物や霊の前に飛び出して行ったりしないんですけど、戦ってるのを見てると、爪の方が多いと思います。
退治屋の事務所が近いときは七杜さんが使ってた大太刀をかついでいくこともありますし。」
「やはりね。彼は魔力がほとんど使えないと思われます。
退治屋の責任者の皆さんは戦い方で、もう判断されているようですね。」
「えっ?」
「戦うことが商売の皆さんには動きでわかったのでしょう。
リズさんの動きが前とは違っていることがね。
それはいいことでもあり、恐ろしいことでもある。
霊や魔力の高い魔族相手だと、死につながってしまいます。
だから、退治屋の皆さんはあなたに雑用をさせているんでしょうね。」
「そ、そんな・・・でも私は・・・今のままではお世話になっているのが苦痛です。
七杜さんがいくら私をここに引き戻してくれたといっても、それじゃ七杜さんは元の世界にもどれるかもわからないのに・・・完全に自分が消えちゃうかもしれないのに私の時空の鍵になっただけじゃありませんか!」
「そうですね。でも、そこまでする理由があったとは思えませんか?」
「理由があった?自分が鍵になる理由・・・私を元の世界にもどす?
うそ・・・そんな・・・もどれる方法がわかったの?
でも、誰もそんなこと言ってなかった。
それに祐希さんだってもどれないって嘆いていたし。
あ、祐希さんは私と同じ世界から私より前にこの世界に青い本を持ったまま飛ばされてきた人なんです。
それで、リズの一部になっていたのが、その一部がもどって今は少し、私のことも気にかけてくれるようになりました。」
(今度・・・もし、何かに私が狙われてリズナータが私をかばって死んでしまうようなことになったら・・・。
私のために肉体まで放棄してくれた七杜さんは・・・嫌だ!
そんなのは嫌。
目覚めたときに七杜さんが動かなくなっていただけでも胸が痛くてつらかった。
だけど・・・今、私の中にいるリズは私とキスをして・・・あれ?
熱くはなるけど、毒がないよね。
魔族特有の毒が消えてるってことは・・・今のリズは魔族じゃないの?
そうだ!静歌さんの所属してた教会できいてみよう。)
いちこは、教会へ行ってみた。
宇名観の教会というのは、日本にある神社とプロテスタント系の教会をおりまぜたようなところで、神は1つではないという考えにもかからわず、自分が信じられる神を選び崇拝できるところだった。
「おまたせしました。伝道師の綱樹(つなき)といいます。
魔族のことで教えてほしいとのことですが、どういったことでしょう?」
「じつは、私の噂はご存じかと思うのですが、私はこの身の内に魔族を飼っています。
そして、その魔族は私の用心棒として働いてくれていました。」
「働いてくれていた・・・と過去形なんですね。」
「言い方が変ですよね。飼っているといって働いてくれていたなんて。
じつは、今飼っている魔族は・・・2代目なんです。
初代は私をかばって死んでしまいました。
そして、私につくしてくれた魔族は、神に召されて功績を評価され、現在は天使になったそうです。
あ、これはお告げのような声が聞こえたんです。」
「私も新しい天使がこの町を出発したのは知っています。
それが、あなたの中にいたんですね。
で、2代目なんてどうして?」
いちこは青い本と祐希、赤い本を七杜が使ったことなど順を追って説明していった。
「伝説になっている本の話ですね。
この町に持ち主がいたとは・・・。すばらしいし、恐ろしくもありますね。
で・・・コホン、魔族とのキスでしたね・・・。
毒づいていないキスで人間どうしのそれととくに変わりない。
それはですね・・・その魔族が不完全だからなんですよ。」
「不完全な魔族!?ですか・・・。」
「そうです。
あなたの胸の奥の穴を埋めて、時空の狭間の放浪者とならないように七杜氏は自分の身を犠牲にして赤い本を使ったんでしたよね。」
「ええ。で、ときどき、私は・・・リズのことを・・・あ、魔族にリズって名前をつけてて・・・。七杜さんと錯覚を起こしてしまうことがあります。
でも、前のリズは退治屋の祐希さんの一部だったはずなのに、キスは毒だらけで私は欲しがり、淫乱女に変貌してしまったんです。
なのに・・・今のリズとは・・・登場させると恋人のようにキスしてきて、少し困りますし・・・。毒がないので、人間の彼氏と錯覚までしてしまいそうで。」
「ふふふ、なるほど。それで、戦闘などはどうなのですか?
リズ?あなたのしもべさんは以前のように爪で引き裂くような物理攻撃と魔力を要しての攻撃を使い分けていますか?」
「使い分けているのかなぁ・・・。最近の私は事務の補助とか雑用とか多くて、魔物や霊の前に飛び出して行ったりしないんですけど、戦ってるのを見てると、爪の方が多いと思います。
退治屋の事務所が近いときは七杜さんが使ってた大太刀をかついでいくこともありますし。」
「やはりね。彼は魔力がほとんど使えないと思われます。
退治屋の責任者の皆さんは戦い方で、もう判断されているようですね。」
「えっ?」
「戦うことが商売の皆さんには動きでわかったのでしょう。
リズさんの動きが前とは違っていることがね。
それはいいことでもあり、恐ろしいことでもある。
霊や魔力の高い魔族相手だと、死につながってしまいます。
だから、退治屋の皆さんはあなたに雑用をさせているんでしょうね。」
「そ、そんな・・・でも私は・・・今のままではお世話になっているのが苦痛です。
七杜さんがいくら私をここに引き戻してくれたといっても、それじゃ七杜さんは元の世界にもどれるかもわからないのに・・・完全に自分が消えちゃうかもしれないのに私の時空の鍵になっただけじゃありませんか!」
「そうですね。でも、そこまでする理由があったとは思えませんか?」
「理由があった?自分が鍵になる理由・・・私を元の世界にもどす?
うそ・・・そんな・・・もどれる方法がわかったの?
でも、誰もそんなこと言ってなかった。
それに祐希さんだってもどれないって嘆いていたし。
あ、祐希さんは私と同じ世界から私より前にこの世界に青い本を持ったまま飛ばされてきた人なんです。
それで、リズの一部になっていたのが、その一部がもどって今は少し、私のことも気にかけてくれるようになりました。」