退治屋の裏手には潮川という川が流れていて、その河川敷をいちこたちは歩きながら話した。
聖智の部屋で言われたこともいちこは七杜にうちあけた。
「聖智のやつ・・・無理しやがって。」
「無理ですか?」
「あいつは女相手にそういうネタフリはしない男だよ。
逆襲か・・・。せいぜい女の子ウケする菓子でも買ってきてくれるんだろうよ。あははは」
「そ、そうなんですか?」
「考えてもみろや。あいつの容姿からして、女に不自由するような男か?」
「いえ、ものすごく女性に囲まれそうです。」
「だろう?おまえに慰めてもらうほど、女には不自由してないんだよ。
けどな・・・おまえはあいつにとっても大切にしたい女の子なんだ。」
「どういうことですか?」
「ん~なんていうか、妹以上妻以下みたいな。
男女のなんとかっていうのを超えた存在。
家族で、同じ家に居てもらわなきゃいけない存在だな。」
「あの、七杜さんもそんな感じですか?」
「ああ。疲れて帰ってきたときに、おまえの入れた茶が1杯出てくるのと出てこないのでは疲れの量がぜんぜん違っちまうな。」
「でも私は危険分子だって聖智さんが言ってました。
七杜さんもそう思っているってことですよね。」
「(余計なことを口走りやがって・・・)悪魔のリズの行動によって宿主のおまえもこの世界もどうなるかわからない状況だからな。
もしリズが暴走するようなことになったら、退治屋の中に居てくれた方が対処が早いって程度の話だよ。」
「そ、そうですよね。
キスだけで私が私でなくなってしまったんですから、他にもやっちゃいそうで怖いです。」
「そのために俺たちがいる。
そう思ってはもらえないかな。」
「はい、そうします。・・・なんだか七杜さんにはきいてもらいやすいっていうか、相談しやすいですね。
やっぱり社長さんだから・・・頼れるお兄さんですね。
あ、でも・・・彼女さんからにらまれそう。」
「そんなのいねえよ。」
「えっ、だって、実業家で強くて、お話も上手くて、包容力があって、いかにも頼れるお兄さんって感じなのに?」
「うれしいこと言ってくれるじゃないか。
けど・・・いないんだよな。
いずれ、おまえにもわかるだろうが・・・。俺は・・・。ん!?」
ザザアーーーーーーン!!!グィイイイイイイイ!
突然、潮川の中からお化けナマズが飛び出してきた。
「くっ、こんな町に近いところに・・・あぅ、大太刀を置いてきてしまった。」
「すぐにリズを呼びます。」
「だめだ、まだリズは回復してねえだろ。おまえは離れて事務所に電話してくれ。」
「はいっ」
駆け出したいちこ目がけて、ナマズはビューンと飛び掛かってきた途端、ナマズはギャアーーー!と叫び声をあげた。
「ええっ!?うそ・・・どうして?」
振り返ったいちこの目に映ったナマズはリズと同じような青黒い肌色をした鬼の拳で体を貫かれていたのだった。
ギイ・・ギィ・・・・ギギギギ・・・ギ。
「悪魔?違うわ・・・鬼みたい・・・。」
すると、みるみるうちに鬼は七杜の姿にもどっていく。
「やっぱり、七杜さんだったんだ・・・。」
「怖いか・・・俺が?」
「い、いえ・・・。もうそろそろ何見てもおどろきません。
慣れてきました。」
「あははは、そうかい。
おまえにはそろそろバレるかなぁって思ってたけど、予想したとおりの展開だったな。」
「何ですか?予想どおり?」
「俺のもう1つの姿を見ちまっても、逃げないだろうって予想してたんだ。」
「悲鳴をあげて逃げると思ってたんですか?」
「いいや。おまえは逃げないだろう。
身のうちに悪魔もいることだしな。
ただ、さっきの言葉がな、重いわな。モテモテの要素いっぱいのお兄さんじゃなくてオニさんだからな。」
「うふふふ、面白いです。」
「はぁ?何を面白がってる!
言っておくが、俺は身のうちに鬼を飼ってるわけでも、あやかしでもないからな。
もちろん、根っからの鬼でもない。
これは呪いだ。」
「呪い?」
聖智の部屋で言われたこともいちこは七杜にうちあけた。
「聖智のやつ・・・無理しやがって。」
「無理ですか?」
「あいつは女相手にそういうネタフリはしない男だよ。
逆襲か・・・。せいぜい女の子ウケする菓子でも買ってきてくれるんだろうよ。あははは」
「そ、そうなんですか?」
「考えてもみろや。あいつの容姿からして、女に不自由するような男か?」
「いえ、ものすごく女性に囲まれそうです。」
「だろう?おまえに慰めてもらうほど、女には不自由してないんだよ。
けどな・・・おまえはあいつにとっても大切にしたい女の子なんだ。」
「どういうことですか?」
「ん~なんていうか、妹以上妻以下みたいな。
男女のなんとかっていうのを超えた存在。
家族で、同じ家に居てもらわなきゃいけない存在だな。」
「あの、七杜さんもそんな感じですか?」
「ああ。疲れて帰ってきたときに、おまえの入れた茶が1杯出てくるのと出てこないのでは疲れの量がぜんぜん違っちまうな。」
「でも私は危険分子だって聖智さんが言ってました。
七杜さんもそう思っているってことですよね。」
「(余計なことを口走りやがって・・・)悪魔のリズの行動によって宿主のおまえもこの世界もどうなるかわからない状況だからな。
もしリズが暴走するようなことになったら、退治屋の中に居てくれた方が対処が早いって程度の話だよ。」
「そ、そうですよね。
キスだけで私が私でなくなってしまったんですから、他にもやっちゃいそうで怖いです。」
「そのために俺たちがいる。
そう思ってはもらえないかな。」
「はい、そうします。・・・なんだか七杜さんにはきいてもらいやすいっていうか、相談しやすいですね。
やっぱり社長さんだから・・・頼れるお兄さんですね。
あ、でも・・・彼女さんからにらまれそう。」
「そんなのいねえよ。」
「えっ、だって、実業家で強くて、お話も上手くて、包容力があって、いかにも頼れるお兄さんって感じなのに?」
「うれしいこと言ってくれるじゃないか。
けど・・・いないんだよな。
いずれ、おまえにもわかるだろうが・・・。俺は・・・。ん!?」
ザザアーーーーーーン!!!グィイイイイイイイ!
突然、潮川の中からお化けナマズが飛び出してきた。
「くっ、こんな町に近いところに・・・あぅ、大太刀を置いてきてしまった。」
「すぐにリズを呼びます。」
「だめだ、まだリズは回復してねえだろ。おまえは離れて事務所に電話してくれ。」
「はいっ」
駆け出したいちこ目がけて、ナマズはビューンと飛び掛かってきた途端、ナマズはギャアーーー!と叫び声をあげた。
「ええっ!?うそ・・・どうして?」
振り返ったいちこの目に映ったナマズはリズと同じような青黒い肌色をした鬼の拳で体を貫かれていたのだった。
ギイ・・ギィ・・・・ギギギギ・・・ギ。
「悪魔?違うわ・・・鬼みたい・・・。」
すると、みるみるうちに鬼は七杜の姿にもどっていく。
「やっぱり、七杜さんだったんだ・・・。」
「怖いか・・・俺が?」
「い、いえ・・・。もうそろそろ何見てもおどろきません。
慣れてきました。」
「あははは、そうかい。
おまえにはそろそろバレるかなぁって思ってたけど、予想したとおりの展開だったな。」
「何ですか?予想どおり?」
「俺のもう1つの姿を見ちまっても、逃げないだろうって予想してたんだ。」
「悲鳴をあげて逃げると思ってたんですか?」
「いいや。おまえは逃げないだろう。
身のうちに悪魔もいることだしな。
ただ、さっきの言葉がな、重いわな。モテモテの要素いっぱいのお兄さんじゃなくてオニさんだからな。」
「うふふふ、面白いです。」
「はぁ?何を面白がってる!
言っておくが、俺は身のうちに鬼を飼ってるわけでも、あやかしでもないからな。
もちろん、根っからの鬼でもない。
これは呪いだ。」
「呪い?」