退治屋の寮の入り口にたどり着くと、管理人も晴海もいなかった。
「不用心ねぇ。・・・聖智さん眠っていたらどうしよう・・・。」
聖智の部屋の前で、5分ほど立ち尽くしていると、いきなり部屋のドアが開いていちこは聖智の部屋へと連れ込まれてしまった。
「きゃっ、や、やめてください!」
「このあいだの続きで、私の下半身を狙ってきたのでしょう?
私も濃厚な愛撫をうけて、まだまだ体が火照っていますのでね。
いつ始めてもらってもかまいませんよ。」
「聖智さん・・・なんで?
どうしちゃったんですか?」
「どうもしていません。
私は男にも抱かれたい男らしいですから、肌を触られるのは日常茶飯事といってもいい。
だけど、私の心はそっちの気はないんです。
女性に抱かれる時が至福の時です。
ほらごらんなさい。
いちこの吸ってくれたところがこんなことになってしまいました。」
「あっ・・・。」
「目をそらせてはいけません!
これがあなたの欲しいものだったのです。」
「ち、違う!違います!私は聖智さんにそんなことしたくはなかった。
何かに操られて・・・熱くて、頭が真っ白で、何かにむしゃぶりつきたかった行動は認めますが、相手が聖智さんだったという記憶もなくて、あとになってリズが帰ったあとにいっぱい記憶が押し寄せてきて・・・。
もう顔から火が出そうで、どうしたらいいのかもわからなくて。」
「そうですね。いちこはリズを襲って私がいることにも気づかずに、リズと行き着くところまでいこうとしていました。
だから、私はリズを突き落しました。
相手がわかっていないあなたは続きの行動を私に仕掛けてきましたね。
私はそれを拒絶しなかったのです。」
「どうしてなんですか?私も屋根から落としてくれていれば・・・」
「落としたら再びリズを襲うでしょう?
私はあなたに抱かれて、不覚にも感じてしまいました。
だから、こんな形であなたの心を傷つけてしまった。
すぐに毒消しを飲ませて術をかけるべきだったのに・・・。
いちこ、出ていってはいけません。
出て行ってほしくないのです。」
「聖智さん、私を軽蔑しないんですか?
私はふしだらな女じゃないですか?男狂いな女じゃないですか?
私は痴女じゃないんですか?」
「軽蔑なんてしません。
さっきも言ったではないですか、私はあなたの行為に身を委ねたのです。
すごく感じてしまったのです。
私に対してだけのふしだらや痴漢行為は大歓迎なんです!」
「えっ!?」
「でもこれだけは・・・約束してほしい。
リズとのキスはやめなさい。もちろんそれ以上もしないと約束してください。
でないと、ほんとにあなたは生きていられなくなる。
そんなことになったら、私は悲しい。」
「もちろん、もうリズとはそんなことする気もありません。
リズには悪いけど、魔族の体液の効果は怖すぎます。
リズも私が泣いてばかりいたから、わかってくれました。
だけど・・・悪魔だから何も起こらないとは言えません。
だから私は退治屋さんにはいない方がいいと思って。」
「七杜はそれでもいてほしいと言わなかったですか?
もしも彼が言ってないのなら、私から言います。
あなたは危険分子だ。退治屋にいなければ生きられない!
そして・・・私も・・・生きられない。」
「事務所に私が居ても嫌じゃない?」
「事務所にいると嫌かもしれません。・・・私としてはここにあなたをしばりつけておきたいのですが、それだと七杜たちに私が殺されてしまいますのでね。
それに、いてくれないと・・・私が今度逆襲できません。」
「えっ・・・!!!逆襲って・・・あの、そんな困ります。」
「そこで困ってもらってもねえ。
私はこの痕をネタにどんどん逆襲しようと計画しているのに。」
「あ、遠慮します。事務所に行って、七杜さんや蒜名さんに謝ってこなくては!失礼します。」
いちこは慌てて、聖智の部屋を出ていくと事務所へと走っていった。
「七杜さん、今少しお話できますか?」
「おぅ、来たな。じゃ、外に出ようか。」