「顔貸せ」 クソ犬が張り込んでる正門で、あたしはそいつを呼んだ。 「はい!」 何か勘違いしてそうだけど、あたしもいい加減我慢の限界。 「お前しつけぇ。失せろって何度も言っただろ!役立たずのその耳むしるぞ!骨折りたくなきゃ失せろ!!」 音量は押さえて、でも苛立ちを全部ぶつけた。 本当に交番に突きだそうか。 「良かった!やっとお連れでき――」 「!?おい離っ――」