混み合った下駄箱をすりぬけて、校門をくぐる。

「楽しそうなクラスで良かったね!」
「うん、そうだね。」

他愛ない会話をしながら下校する。
なんかいつも通りで良かった。

「そういえば、下駄箱でぶつかった人、結構かっこよくない?」

奈々美の突拍子もない発言にびっくりした。
確かに学ランは似合ってたと思う。
でも、初対面の人の机に座っておいて、
「つまんねー奴」
とか言う人は正直まともな人じゃないと思う。

「もしかして私の運命の人だったりしてー。」
「ないない。」

即座に否定しておいた。
奈々美は極度の面食いだから今までにだって何度も一目惚れしては
「性格悪いー。イメージと違うー。」
の繰り返しだった。

「うそうそ!冗談だってー。」

だよね。
あんな変な奴に奈々美をとられたくないし。

「じゃあまた明日ねー!」
「うん、ばいばい!」

曲がり角で奈々美と別れてからは小走りで家まで走った。