鈴姫は吉辰のまっすぐな目に安心感を覚え、柔らかく笑みをこぼした。

「…はい。」

鈴姫の返事に安堵したのか、吉辰も優しい笑みを浮かべ、鈴姫を抱き寄せた。

「しばらく離れるが、 すぐに戻ってくる。土産を楽しみにして待っておれ。上宮の国は染物が盛んと聞く故な。何かあれば父上を頼れ、よいな。」

「はい。…吉辰様?」
「なんだ?」

鈴姫は遠慮がちやに腕を吉辰の背中に回した。

「無事のお戻りを、心よりお待ちしております。」

鈴姫は今にもこぼれそうな涙を我慢して吉辰に告げた。
鈴姫の言葉に、吉辰はくちづけを落とすことで返事をした。