鈴姫は勢いで吉辰と直之の部屋から飛び出し、あとのことを松江と侍女たちに任せて、寝室に飛び込んだ。途端にひどく疲れを感じ、松江があらかじめ用意しておいてくれた布団に潜り込んだ。
だが、疲れを感じた割には眠くならない。なんとなく隣の冷たさが気になってしまうのだ。吉辰と共に寝ることが当たり前になって、もはや一人で寝ることすらできなくなっている自分に鈴姫は嫌気が差した。
(兄上の馬鹿…。機嫌がいいかと思ったらあんな事言うなんて…。しかも吉辰様の前で…。)
布団に顔を押し付け、そのまましばらく泣いた。
考え事にふけっていると、襖が空いた。鈴姫は咄嗟に目を閉じて寝たふりをした。明かりが消え、隣の衣擦れの音が部屋に響く。
そして鈴姫の背中が温かさに包まれた。
(…あったかい。)
寝たふりを忘れ、鈴姫は回された吉辰の腕に軽く手を添えて、衣をそっと握る。
「鈴。どうしたのだ?」
だが、疲れを感じた割には眠くならない。なんとなく隣の冷たさが気になってしまうのだ。吉辰と共に寝ることが当たり前になって、もはや一人で寝ることすらできなくなっている自分に鈴姫は嫌気が差した。
(兄上の馬鹿…。機嫌がいいかと思ったらあんな事言うなんて…。しかも吉辰様の前で…。)
布団に顔を押し付け、そのまましばらく泣いた。
考え事にふけっていると、襖が空いた。鈴姫は咄嗟に目を閉じて寝たふりをした。明かりが消え、隣の衣擦れの音が部屋に響く。
そして鈴姫の背中が温かさに包まれた。
(…あったかい。)
寝たふりを忘れ、鈴姫は回された吉辰の腕に軽く手を添えて、衣をそっと握る。
「鈴。どうしたのだ?」