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「ほんっともームカつく!なんなのあいつ!ただのかっこつけ!憎たらしい!」

「落ち着いて綾愛。可愛い顔が台無し」

「落ち着けない!あと可愛くないわよ!」

「あ、綾愛だいじょう…」

「ぶじゃない!イライラーっ」



風紀委員会の仕事を終え、クラスに戻ると、親友の宮間 里依紗と、楠原 美華が迎えてくれ、優しいふたりに甘えて、この有様。


ほんとにもう、神山 大地のあの憎たらしい笑顔、何にでも余裕そうな話し方、すべて好きになれないわ!



「でも、神山って男女どちらからも人気だよ。明るい性格と、それにイケメンだし」

「うんうん。神山くんのことを好きな子、いっぱいいるよ」

「好きぃ!?あいつを!?イケメン…は、否定しない、けど…性格は…」



そう。やつは、イケメンなのだ。

通った鼻筋、形の良い唇、小さくも大きくもない、茶色い透き通った目、さらに綺麗な茶髪。


…モテなくもない、容姿だろうけど。



「わたしは好きじゃない。風紀乱しやがるし」



風紀を乱すやつはわたし達…いや、わたしの敵。

だから神山 大地を好きになることなんざ、絶対ありえない!



そう、ありえない。


…それに男自体、好きじゃないから、ね。




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