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「あ!綾愛お帰り!
おでこ、大丈夫?」

「うん、大丈夫。ありがと」

「はい。ノート見せる」

「ありがと、里依紗」



結局わたしが教室に戻ったのは、一時間目が終わった後。


ぶつけたおでこは痛みは少しあるものの、赤みは鏡では見えなかった。



「あ、そうだ。あたし今日、一緒にご飯食べれないわ」

「えー!里依紗なんでー!」

「バスケ部の集まり。だからごめん」

「そっかぁ…」



里依紗は、バスケ部のエース。一度試合を見に行ったけれど、初心者のわたしが見て分かるほど、里依紗のプレーは輝いていた。



「じゃあ綾愛、一緒に食べよーね!」

「うん、いいよ」



そう返すと、美華は可愛らしくにこりと笑った。



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