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「委員長は、男を分かってない」

「…べ、別に分からなくても…」

「だーめ。これも男嫌いを直す方法のひとつ。男を知ろうか?身を持って」



ズイッと近づく神山 大地。ここで逃げたら、悔しい。わたしは震えを我慢して、見つめ返す。



「…俺が教えてあげようか?」



にやり、神山 大地のこぼす笑みは、いつもより少し大人な、妖艶な笑み。



「…な、直せるもんなら…、直してみなさいよ」



わたしは手強いわよ?そう目で訴えると、神山 大地は、笑顔のままわたしの頭に手を置いて、保健室を出て行く。



「…任せろ。全部教えてやるよ。俺、がな」



ガラリという音とともに閉まる扉。



「…上等じゃないの」



額に当てられた保冷剤は、とっくに温くなっていた。



…神山 大地は、わたしの敵。
そんな敵にわたしは、男嫌いを直す手伝いをされるみたい、です。




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