「……っ」


久しぶりに触れた唇は、やっぱり甘くて柔らかくて…

その感触と温度に、心も身体も急速に満たされていくのがわかる。

それはきっと、ナオも同じはずだ。


だって、ほら。
しっかり俺に応えて…


「ちょっ…ダ…ダメだよ。」


やっぱり、重ねるだけじゃ全然足りない。

ナオをもっと感じたくて、キスを深めようとした…とき。

ふいに、我に返ったように顔を反らしたナオ。


「……何?」


至近距離のまま、尋ねてみれば、


「ここ、学校だよ?」


ナオの口から出てきたのは、まさかの“優等生発言”。


「こういうことしたら、いけないと思うの。」



……はぁっ?

誰だ?コレ。
きっぱりと断言してるのは、いつものナオじゃない。

だって…



「“ここなら誰も来ないから大丈夫だ”って、言ったのお前だろ?」


“キスくらい、いいじゃん”とかも言ってたよな?

今さら、何?


「言ったけど、でも…私、サチ先生と約束したんだもん。」


サチ姉と…?



「実習中は我慢して、ちゃんと龍ちゃんを応援する、って。」