「…へっ?」


叫ぶなり、ガバッと。
思いっきり抱きついてきたナオ。


久しぶりの香りと感触。

身体が勝手に反応して、思わず抱きしめ返しちゃったけど…ダメだ。

まだ欲望に流されるわけにはいかない。

名残惜しさを感じつつも、ナオの身体をそっと引き離した。


「ナオ…?」


そして、俯いてしまった顔を覗き込む。


「……わかってるの。」

「へっ?」

「全部、私が悪いんだって。」


小さく呟いたかと思うと、ゆっくりと顔を上げて、再びまっすぐ俺を見つめた。

……っ。

その瞳は揺れていて。
泣きそうなのを必死にこらえているのがわかる。


なんで、泣く?

ナオのその表情を見るのが、俺にとっては1番ツライってこと、わかってるのかな?

そんな顔をさせたくなかったから、結婚したはずなのに…

気づけばいつも、俺がそんな顔をさせている。


俺、全然ダメじゃん。



「ナオ、俺…「でも、私、頑張るから」



またもや俺を遮って。
ナオは続ける。

“頑張る”?



「もっと勉強して、いっぱい練習して…龍ちゃんを満足させてあげられるように、ちゃんと努力する!だから…



帰ってきて?」