手に掬った猫はまだとても小さく、そして冷たかった。

「死んでるよ。」

一輝君が私に言った。

「死んでる。」

もう一度つぶやくようにそう言って
ダンボールの前にしゃがみこんだ。

「そっか・・・。」

白い小さな猫をダンボールに戻す。
一体彼は、何を考えてこの子猫たちを見つめてるのだろう。

可哀想に。 きっとこの雨の中寒さに震えて死んでいったに違いない。

傘を方と首で支えてカバンの中を漁る。
雨で少し、教科書が濡れている。

タオルを取り出して、一匹ずつ子猫たちを毛をタオルで撫でる。

白い子猫、赤い子猫、黒い子猫。

まだ皆小さい。

その動作を、一輝君はずっと眺めてた。

「一輝君は、いつからここにいたの?」

ちらっと子猫たちから視線を私に移したけどすぐにその視線は
私の手の子猫に戻った。

「わかんない。 今何時だっけ。」