次の日。

 みきぽの部屋のドアをたたく音が。

 「みき!まだ寝ているの!!」

 母でした。

 「早く起きなさい!!」

 ドアをたたく音が、次第に大きくなってきました。

 「いつまで寝ているの!!入学式から遅刻したら、大変でしょ!!」

 反応がありません。

 「入るわよ!!」

 母は、普通にドアを開けて、部屋に入りました。

 みきぽは、ベットの上で、寝てました。

 「早く起きなさい!!」

 母は、かなりの勢いで、みきぽを起こしました。

 半分寝とぼけて
 「お母さん、おはよう!!」
 「なにがおはようよ!!早く起きなさい!!」

 みきぽは、慌てて、顔を洗って、歯を磨き、髪型を整えました。

 食卓に行くと、すでに父が座ってました。

 「お父さん、おはよう!」
 「おはよう」
 「いただきます!!」

 普通に、ご飯、味噌汁。

 みきぽは、急いで食べると、部屋に戻り、制服に着替えました。

 鏡で、自分の姿を見て

 「なかなか、いけるじゃん!!」

 玄関行くと、父と母がいました。父も、出かけるところでした。
 制服姿のみきぽを見て

 「みきも、高校生になったんだなーーー」
 「お父さん、制服姿、かわいいでしょ!」
 「そうだなーーー」
 そこに母が
 「ふたりとも、早く行くようにして!!」

 「はーーい!」

 みきぽ。

 「はい!」

 父。

 「みき、お母さんは、入学式までには学校に着くようにするからねーー」
 「わかった。行ってきまーーーす!!」

 みきぽは、元気よく出て行った。
 続いて、父も、ゆっくり、出て行った。



 みきぽの高校は、自宅から遠い。1時間はかかる。
 乗り物に乗りながら、タブレットを見ていた。

 「昨日、資料ちゃんと読んでいてよかったーーーー」

 今日初めて、人間界の父と母に会った。しかし、16年間いっしょに住んで、育った親子でもある。少しの、違和感も許されない状況だった。

 「こういう、イザ、という時に、強いんだなーーー。勉強はできないけどーーーー」

 みきぽの、つぶやきだった。

 やがて、高校に着いた。ここで1年生として、1年間過ごす。

 「本当は、3年間過ごしたいんだけどーーー」

 みきぽの、本音だった。

 とにかく、新しい、みきぽの人生(天使生??)の、スタートです。


 校門を抜けると、校庭がありました。
 新1年生が、あっち、こっちにたくさんいました。
 この高校は男女共学の、普通校です。
 同じ中学校からか、3人づれでしゃべりながら、歩いている女子や、男子。
 反対に、1人で黙っている、男子、女子。
 中には、女子に、声かけまくっている男子。その、逆の女子もいました。

 ところで、みきぽは、と言うと

 「誰も知った人がいないーーーーあたりまえだけどーーー」

 極度の天使見知り、改め、人見知りでした。

 「どうかしましたか?」

 みきぽに、話しかける女の人。この高校の先生だった。

 「いえ、べつにーーー」
 「心配しなくてもいいのよ。すぐに慣れるから」
 「はい」
 「今日の入学式、みんな同じスタートラインに立ってるんだから、自分の力を一杯出して、頑張ってね!!」
 「はい、ありがとうがざいます」

 「美人だなーーー、あたしのほうが、可愛いけどーーーー」

 ここで、校内放送がありました。入学式を行うので、体育館に入って下さいと。
 体育館に入ると、中央に椅子が並べてあって、入った順に、座って行きました。
 みきぽは、なぜか、ど真ん中に座っていました。

 ちょうどその頃、みきぽの母も学校に着き、体育館に入って行きました。

 午前10時。式が始まりました。

 校長先生挨拶

 「新しく入学したーー(以下省略)」

 来賓挨拶

 「おめでとうございますーーーー(以下省略)」

 生徒会会長挨拶

 「みんなーーーー(以下省略)」

 式は、淡々とあって、終わりました。

 その後、1年生が残り、クラス発表がありました。
 体育館の壁に、クラスの名前の書いた紙が張られました。
 みんな、何組になるか、楽しみでした。

 全部で6クラス。みきぽは1年何組でしょう??

 張り出された紙の、どのクラスに自分の名前が書いてあるか?みんな必死に探してました。

 「あっ!あった!!」

 と、喜ぶ女子。

 「無い!どうして!!」

 全部の紙を見ても無くて

 「まさかーーーー」

 呆然とする、男子。

 「俺、ひょうとして合格していなかったのかーーーー」

 (実はーーー、慌てて見たため、自分の名前を、見落としただけでした)

 
 みきぽは、慌てる事無く、1組より、ゆっくり見ていました。

 「1組、無し」

 「2組ーーー無し」

 「3組ーーーーーーー無し」

 「4組ーーーーーーーーーーーーーー無し」

 「5組ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー、ありました!!」


 みきぽは、1年5組でした。

 各クラスの貼った紙に、続々と集まってきます。

 「同じクラスで、よかったねーー」
 「あたしだけ、このクラスになったーーー」
 「なんで、あんたと同じクラスになるのよーーー」

 いろいろな、声が聞こえます。

 
 みきぽは、周りを見ました。このみんなで、同じクラスで過ごすんだなーーと。

 「いろいろ、ありそうだなーーー」

 いろいろ、ありそうなクラス。予感は、当たるかな??


 「みなさん、これから1年5組の教室に行きますから、ついて来て下さいね」

 聞き覚えのある声。見ると、みきぽに、校庭で声をかけてくれた先生だった。

 「あの先生が、担任だったらいいなーーーーー」

 少し、わくわくしながら、みきぽは、ついて行きました。


 体育館の横に、4階建の校舎がありました。

 4階  1年生

 3階  2年生

 2階  3年生

 1階  職員室等


 ひたすら、4階まで歩きます。

 「どうして、エレベーターがないの!!!」

 早速不満の声がーーーーー。

 「みんな若いのに、何言っているの!!」

 先に歩いている、あの先生言った。

 みきぽは、さわやかな先生に見えた。

 不満な声が1部あったものの、全員4階の、1年5組の教室に入りました。

 「今日はまだ席を決めていないので、とりあえず、空いている椅子に座って下さい」

 教室に入り、各々が席に着きました。
 みきぽも、空いた席に座りました。

 全員が座ると、教室の戸が開き、もう1人の先生が入ってきました。
 男の先生で、歳は60歳に近いと見えました。

 「みなさん、はじめまして、担任の香かおりと言います」


 黒板に名前を書きました。

 香 かおり

 かおる かおり

 「先生、良い名前ですね!」
 女子の1人が言いました。

 「先生、美人ですね!!」
 男子の1人が言いました。

 そして、後から入って来た、男の先生が、教壇に立ちました。

 「副担任の、富士一太郎と言います。よろしくお願いいたします」

 なぜか、ここで拍手が起こりました。

 「富士先生は、学年主任の先生でもあるのよ」

 かおり先生の言葉に、うなずく、生徒たちでした。


 
 「早速ですが、出席をとりますね。名前を呼ばれたら、返事をして、立って下さい。先生も早く、名前と顔を覚えたいし、クラスのみんなも、早く名前と顔を覚えたいでしょ!!呼ばれたら、なんでもいいから一言、言ってね!!」

 うなずく生徒、約8割。残りの2割は、どうしてか??

 「では、出席をとりますね。(以下省略)」

 呼ばれて、立っての一言。その生徒の個性が出ました。
 はたして、みきぽは、なんて言うのか??


 「はい!!」

 元気よく立って

 「人見知りで、あまり勉強もできませんが、よろしくお願いします」

 無事終了。

 「だって、本当の事だもんーーー」

 みきぽは、みんなの一言を、しっかり見ていました。

 「このクラス、かなり個性が強いなーーー。あたしもだけどーーーーー」

 みきぽの、自分解析は、正しかったです。

 やがて、クラス全員の一言は終わりました。

 「みんな、個性が強いわね。このクラス、他のクラスには負けない力があると思います。みんな、頑張ってね!!」
 
 かおり先生の言葉に、

 「はい!!!」

 クラス全員が、そろって返事をしました。

 「では、その他の連絡を、富士先生からしていただきます」

 横で見ていた、富士先生。久々の出番です。

 「3つ連絡したいことがあります。1つ目、今から生徒手帳を渡しますので、自分の名前を書いてください。2つ目、明日、教科書の販売があります。高校は義務教育ではないので、教科書は買わないといけません。値段表の用紙を渡しますので、よく見てください。3つ目、そのほかのいろいろなことの書いた用紙を渡しますから、よく読んでいてください。それとーー」

 まだ、ありました。

 「通学で、学割が必要ですね。事務所で、証明書を発行してもらってください。以上!!」

 終わりましたね。

 「まだまだ、これからいろいろあると思います。わからない事があったら、どんどん聞いて下さい」

 かおり先生の言葉です。


 ここで、チャイムが鳴りました。

 「今から、10分間の休憩です。トイレは校舎の両端にありますからね!」

 すると、クラスの半分の生徒がいっせいに動き出しました。
 ある生徒は、急いでトイレに。ある生徒は、かおり先生のところに。
 ある生徒は、なぜか、富士先生のところに。ある生徒は、何となくーーー。

 入学式からの緊張が、やっと今、とれたみたいです。

 みきぽも、何となく、ほっ!としていたところ、後ろから、背中をたたかれました。

 ??と、思い振り向くと

 「あたし、りか。よろしくね!」

 にっこと笑いました。

 「みきです。こちらこそ、よろしく」
 (わっ、可愛い。でも、あたしのほうが勝っている!!)

 「これから、みきぽって呼ぶね!!」
 「どうして?みきぽなの??」
 「見た目が子供っぽいから、みきぽ!!」
 「そんなに、子供っぽい?」
 「最初、体育館で初めて見た時、小学生に見えたもん」
 「そこまで、子供っぽく見えたーーー」
 「だってこの髪型、子供がよくする髪型だもんーー」

 言われて、慌てて、鏡を見る、みきぽでした。

 やがて、チャイムが鳴り、休憩の時間が終わりました。

 「みんな、少しは緊張がとれた?これから3年間、この学校で勉強して、勉強以外でも素敵な思い出を作って下さいね!!」

 かおり先生の言葉に、うなずく生徒。しかし、そうでない生徒もいます。

 ここで、1人の女生徒が突然手を挙げました。

 「先生!!」
 「はい、どうしたの?」
 「先生は、何歳ですか?」
 「えっ?何歳に見える?」

 次々と、生徒が言い出しました。

 「30歳!!」
 「25歳!!」
 「もしかして、思ったよりーーーーー40歳!!」
 「逆に22歳!!」

 はたして、かおり先生は

 「歳はねーーーーーーー、それは、秘密です」

 なぜか、富士先生も

 「先生も、秘密です」

 ????????????


 「今日は、これで終わりです。いろいろな事があったので、家に帰ってからも、書類は、よく読んでいてくださいね」

 かおり先生の言葉に

 「はい」

 の返事が、バラバラだった。

 「もう疲れたの?若いんだか、もっと元気をだして、返事して!!!」


 「はーーーい」

 少しは、元気が出たのかな?前回よりは、元気のある、返事でした。