「卒業式のあれ…本当…?」



「冗談であんなことするように見えるか?」



「見えないけど…なんか信じられなくって……。
夢じゃないかって思って…。」



「…悪かった。
俺、すげぇ自分勝手だったと思う。」



「私があの条件をのんだんだから…遊佐は悪くないよ。

ずっとね、黙ってたんだけど…契約の関係になる前から好きだったの。」



まさかの発言に遊佐は目を見開いていた。
周りは私達の話が気になるのか、一気にシーンと静まった。


そんなこと気にせず私は話を続ける。



「遊佐が猫をかわいがってるのを見て…あぁ、学校では女の子に囲まれてクールに振る舞ってるけど、優しいんだなって。

人目につかない優しさを持つ人は本当に優しい人だと思う。
だって見返りを求めてないってことでしょ?


…単純かもしれないけど、遊佐の優しさを知った時から意識し始めたの。」




そう、単純なきっかけ。
だけど本当に好きになり始めていた。

たったそれだけで?って言う人もいるかもしれない。
それでもこの想いは本物だった。




「違った視点から遊佐を見ていて、次々と普段の見せてる遊佐とは違う一面が見えてきた。
その事にすごく嬉しくなってる自分がいて…それはどんどん増えていったんだ。


遊佐の答辞に対する答えはもちろん…





……私の方こそ、そばにいてください。」





そう言った瞬間、遊佐が抱きしめてきた。
今までとは違う、手だけじゃない温もり…。


また涙が出てきた…。




そんな私達を祝うようにその場にいた生徒だけではなく、保護者も先生も…全員が拍手をしてくれた。

中にはドラマみたーい!!
と、きゃっきゃ言ってる女子が数名いる。



そんなことも気にせずただただ抱きしめあった。