「なかなか話が出来ないまま、卒業と同時にそいつがこの地を離れ、遠くへ行くことを噂で聞きました。

…手の届かない所へ行くそいつを、俺が縛りつけてもいいのかと必死に悩みました。


でも答えは簡単でした。





…好きなものは好き。
ただそれだけだと気づいたんです。

そいつがどこへ行こうが
何をしようが
俺には関係ない。

別に想いを伝えるくらいいいじゃないか、その答えが出てきました。」



あぁ、もう私幸せすぎてどうしたらいいんだろう。




「この場で言うのは場違いだと思いますが、言わせてもらいます。


…妃奈、これから先ずっとそばにいてほしい。
住む所は離れていたとしても、心は俺のそばにいてくれ。



……この学校でたくさんの人に支えられ、そして…勉強だけではなく友情や愛情など様々な事を学ぶことができたこの三年間。
俺だけでなく、全員が人として成長できたと思っています。


本当にお世話になりました。



以上をもって、答辞の言葉とさせていただきます。」




そう締めくくったと同時に盛大な拍手が沸き起こる。

私の周りの子は全員私によかったね、と言ってくれた。
その言葉に、さらに涙が溢れてくる。




…卒業式、まさかこんな事になるだなんて思ってもみなかった。
遊佐への想いと共に旅立とうと思っていたけど、いいんだよね。




自分の気持ち、正直に伝えてもいいんだよね…?