「よぉし!この調子で赤点対策頑張るぞぉ!」



「…はぁ、お前バカか?なんで目標がギリギリなんだよ。」



そ、そっか…赤点セーフじゃまずいか。



「…。」



神野君、何か言うのをためらってるみたい。



「ん?どーしたの?」




「き、昨日さ、」



「えっ?」



小さな声で彼は言った。



「昨日は言い過ぎた。」



…自分にしか聞こえないような声でそう言った。



「えっと…もしかして謝ってる?」



神野君は顔を赤らめて言う。



「わ、悪いか!」



それを見た私は急におかしくなって笑った。



「ふふっ」



「な、なんだよ!」



「いいえ~?別にぃ~」



彼も、人間なんだなって。



「神野くん、面白いね」



「…サでいいよ。」



「えっ?」



「聞こえなかったか?ツバサでいいって言ったんだ。バカかお前。バカかお前。」



彼の一生懸命な顔を見ていると私もそれに答えたくなったんだ。



「うん、分かった。じゃ、代わりに私のことは唯って呼んでよ」


「…え″?」


…何、その嫌そうな顔。



「い、いや…」



…照れてる?



照れてるの?神野くん?