───そして1時間後───




「…少しはマシになったか。」



神野君の言うように私の数学力は少しだけ上がったみたい。



「うん、そうだね」



だいぶ頑張ったよ私。しかも汗かきながら。



今まで、数学を1時間も勉強したことなんてなかったのに。



「へへへっ、」



私は嬉しくなってついつい笑っていた。



「どうした?頭でも悪いのか?」



もう、私は神野君の口の悪さに慣れてしまったみたい。彼、こういう人なんだ。



「へへっ、神野君って口は悪いけどいい人なんだね。」



「何だそれ…っ。」



神野君が視線を外して横を見た。



「…ふ~ん?」



それを見ていたヒカリ。



「な、なんだよ。」



神野君がヒカリに言った。



「…別にィ、私、暑いし帰るわ」



ヒカリって私が神野君と喧嘩するのが心配だったから一緒にいてくれたんだよね。



「ありがと」



っていうと、頑張りなよって小声で言いながらヒカリは帰って行った。