「...大丈夫?」
「...うっ――...ごめ...」
春香に触れられて、抱き寄せている
杉山が少しだけ羨ましく思えた。
ぐっ。
前まで両思いだったとは言え、やっぱ
杉山はまだ春香のことが好きなのかな。
春香が、杉山のことだけが好きで
杉山も春香のことが好きで。
それでいいじゃん。
俺なんか好きにならないほうが
ずっとよかったのに、
そうしたら、こんな気持ちのまま
いられずにすんだはずなのに。
「帰ろうか。春香ちゃん」
「待って...あと少しだけ....まだ近くに
白ちゃんがいる気がするのっ...」
ドキッ
春香、俺が分かるのか?
いや、ダメだそんなの。
俺のせいで春香を苦しめてばっかりじゃ
だめだ。
なにか春香のために役に立ちたい。
だけど、何をすればいいかわからない。
...本当、俺って馬鹿だよだな。
日にちばっかりが過ぎていって
春香は相変わらず一人で泣いてる。
もう、泣かないで春香―――...。