しっかりしろというように、とんと背を叩いた。
「……民が一番だと思っていた。国とは、民がつくるものだと。」
そう言う言葉は利光もリアンも理解は出来た。
細川一正らしいとも思っていた。
秀尚は、理解出来ない様子だが話を聞くことにしたらしく黙っている。
「あんたらのことも、兵やこの城を……国を支えているもののことを考えていなかった。だから、わしのやり方は間違っていたと気付いた。」
「では、大人しく現国王のやり方に従うと?」
「違うな。」
リアンに一正は首を振る。
「あんたはあんたのやり方で治めればええ。……民も、兵も、皆が笑える国にしてくれるのなら。」
一正は秀尚を真剣に見た。
射抜くような鋭さで、心の底まで見通すような強さで見つめる。
「もし、自分の利益を追い求め、間違った国の治め方をするのなら……例え、謀反と見なされようとわしは戦を起こす。細川国王ではなく、細川一正としてあんたを正す。」
凛とした声で言い放つ。
秀尚は気圧されたように黙った。
「民など、野端の石に過ぎない。」
そう言った。
その表情は先程の気圧された雰囲気はない。
本気でそう思っているようでもあった。
「戦こそ華。名誉だ。それに恩恵を受け、生かされているだけでも有難いと思わねばならぬ。故に、民には兵を労わる義務がある。国の為に全てを捧げるべきだ。」
その言葉を聞いた雅之は“ほう”と唸る。
「では、この国の兵は何の為に戦っている?」
雅之は秀尚に問う。
「国は民が居てはじめて国と呼べる。その民を守る為の兵士だ。その兵が民を苦しめてどうする。」
「では、民が安穏と暮らし、兵はしのぎを削る生活を強いられている現状に納得しろと言うか。」
秀尚の怒りは尤もだ。