風麗は床に倒れ込んだ一正を見る。
そのあとに影の正体を見る。
顔は見えないようにしているが、その背格好と行動から彼が誰かは直ぐに解った。
「畝、とは誰のことだろうな。」
とぼけたように言う。
「なぁ?隠居。」
威圧感を放つ人物を一正は起き上がりながら睨んだ。
「……雅之。」
「宜しい。」
偉そうにふんぞり返る。
最早、どっちが主君か解らない。
「何でこんなところに居るんや……あんた、わしの部屋で書状に目を通してたんちゃうか?」
「終わった。」
雅之は言う。
「それで?こんな時期に傭兵に休暇を与えるという話か?」
「そうなるな。」
「こんな時期に?」
「……あぁ、そうや。」
「へぇ?」
「……」
辺りに気まずい雰囲気が漂う。
すると、雅之は溜め息を吐く。
「俺は構わん。」
「!」
意外な言葉に一正は目を真ん丸にする。
「え?えぇのか?」
まるで、我儘を聞いてもらえた子供の顔だ。
「その代わり、帰ったら覚悟しておけ。みっちり仕事を押し付けてやる。」
風麗を睨むと雅之が言う。
「わかった。」
そう言うと風麗は笑む。
「馬を借りて構いませんか?」
「あぁ。」
一正の返答を聞くと風麗はくるりと背を向けた。
そこで、雅之はその背に声をかける。
「八雲を連れて行け。馬小屋に居る筈だ。」
風麗は顔だけ振り向くと、怪訝そうな顔をしたが頷いた。
そのあとに影の正体を見る。
顔は見えないようにしているが、その背格好と行動から彼が誰かは直ぐに解った。
「畝、とは誰のことだろうな。」
とぼけたように言う。
「なぁ?隠居。」
威圧感を放つ人物を一正は起き上がりながら睨んだ。
「……雅之。」
「宜しい。」
偉そうにふんぞり返る。
最早、どっちが主君か解らない。
「何でこんなところに居るんや……あんた、わしの部屋で書状に目を通してたんちゃうか?」
「終わった。」
雅之は言う。
「それで?こんな時期に傭兵に休暇を与えるという話か?」
「そうなるな。」
「こんな時期に?」
「……あぁ、そうや。」
「へぇ?」
「……」
辺りに気まずい雰囲気が漂う。
すると、雅之は溜め息を吐く。
「俺は構わん。」
「!」
意外な言葉に一正は目を真ん丸にする。
「え?えぇのか?」
まるで、我儘を聞いてもらえた子供の顔だ。
「その代わり、帰ったら覚悟しておけ。みっちり仕事を押し付けてやる。」
風麗を睨むと雅之が言う。
「わかった。」
そう言うと風麗は笑む。
「馬を借りて構いませんか?」
「あぁ。」
一正の返答を聞くと風麗はくるりと背を向けた。
そこで、雅之はその背に声をかける。
「八雲を連れて行け。馬小屋に居る筈だ。」
風麗は顔だけ振り向くと、怪訝そうな顔をしたが頷いた。