数日前
陸長の元に行った秀尚はある提案をした。
『陸長。お前は今の細川に不満があるはずだ。後継者のことだけではない。今までのことも。』
『ああ。』
陸長はぶっきらぼうに答える。
『だったら何だ。処罰でも与えるか?』
『そう言うな。』
秀尚は笑う。
そして、陸長の目を見る。
『現国王、即ちこの俺。……天下は俺のものだ。父のようなやり方は真似したくもない。民よりも兵の方が前線で命をかけている。故に、尊重されるべきだ。そして、民からは平和と引換えに税金という名の対価を貰うべきだ。』
『それで、全てを変えようと?』
『そうだ。』
秀尚は陸長を見る。
『その為には細川の味方……正確には、細川一正の味方を削る必要がある。』
『それで?』
『戦を仕掛ける。』
陸長はその言葉に目を開く。
『馬鹿を言え!そんなこと』
『お前もやりたいと思うだろう?』
『……だが、無謀だ。』
『今は、な。』
秀尚は頷く。
『故に、手を打つ。確実に勝つ為の算段だ。』
『策は?』
陸長は目を閉じる。
『まずは白虎を潰す。』
『……八倉か。』
妖怪の血が流れる家系。